世界を愛するランダム・ウォーカー 感想

   電撃文庫


<あらすじ>

凸凹調査官コンビが遭遇する、新たな世界の謎とは。

深く、広い世界。その全てを知ろうと、天空国家セントラルは各地に調査官を派遣していた。
調査官であるヨキとシュカが今回向かった先は、水上都市グランナーレ。音楽に愛されたこの街で、今宵世にも奇妙な音楽会が開かれるという。
曰く、音楽会に参加すると、己の求める死者と邂逅する事ができるというのだが――。
ほか、春が来ない里、物理法則が乱れた学術都市など、五つの謎を巡る。


〇〇のランダム・ウォーカーシリーズの第2弾。1巻が「世界の果ての」、2巻が「世界を愛する」、今月刊行予定の3巻が「天地の狭間の」といった感じで、全体的なテーマはタイトルに沿う形になるのかな?巻ごとに好みが左右されそうだけど、セントラルからの調査という立場とヨキとシュカのコンビが送る雰囲気は割と嫌いじゃなかった。1巻は読んだとき何か根本的な所ぶん投げてね?って感じだったけど、今回は割と全体的に読後感良かった印象でした。

・死者と語らう音楽会
死者と再び邂逅できるという音楽会を調査をしに来た2人。実際に参加してみた結果、成程確かにその通りだとシュカ。暗示などによる深層干渉で過去の出来事を引き出しているだけに過ぎない……記憶の再構築だとヨキ。そんな中、1人の少年は自分の知らない少女と会ったという。ヨキの仮説が正しければこの少年の言い分と矛盾する為、突き詰めていくことに。少年少女との過去の出来事が徐々に明らかになっていき、真相に辿り着いて全て解決したかと思われた最後、音楽会のルール「死者は望むものの前に現れる」のある意味一番の体験者となったヨキ。都市の世界観は勿論、音楽会のミステリアスさもしっかり印象付けたお話でした。

・君に送る数式
タイトルから滲み出る良さげな雰囲気よ。自分は2巻の中でこれが一番好きなお話だったかな。都市で起こる物理法則を無視した出来事……その中でも特に「緑の異人」を調査しに来た2人。そんな中出会った1人の少年は、周囲にバカにされながらも「世界の終わりの方程式」を只管に書き続ける。反抗してたけど、本当は大好きだった父親のやっていたことの証明の為にも。そんな彼は少し前からこの方程式に躓いていた。何故ならば、出した答えのままだと残り2週間で世界が終わってしまうのだから。そんなわけない、そうは思うけれども、これまでも無理やり代入やらして数式を続けてきた。本当はこの方程式の答えによる世界の終わりは何度も訪れているのに。彼は緑の瞳を持った少女に好意を抱いていた。しかし、彼女は「緑の異人」であり、世界の「修復者」でもあった。世界の終わりは何度も訪れていたけれども、彼女が修復することによって、世界は続いてた。修復することで彼が彼女に対する記憶が消えてしまっても、ひたすらに孤独に何度でも。そんな少年少女の物語にセントラルの介入する余地は無く、ヨキとシュカは2人のサポートをする形で世界の終わりの修復を終える。記憶が消えても、確かに2人の過ごした形はしっかりと残した締め方は1つの物語としてとても良くできていたと感じられました。面白かった、オススメ!

・ビート侍
少年は父親の敵を討つ為に、鍛錬を続けた。そして、ついにその機会が訪れる……と思ったらそいつが死んでた。OHからの敵の敵と追っていくも次々と名の知れた剣豪が死んでいく。その中で伝説の剣豪、新世守道真が怪しいとされるも、彼が連れていた子供が最終的な相手となる。無事に敵を討つことに成功するも……OIOIなオチが笑。雰囲気も今迄のとは異なっており、ヨキとシュカの介入もややとってつけた感があったので、こういうやり口もまあ有りといえば有りなのかな、とも。

他の2つ「春を迎える」「星の侵略者」は個人的にはそこまでかなと思ったけれども、悪くは無かったです。

★評価:80%